安倍首相のタイミングのズレた突然の辞任を受けて、始まったばかりだった臨時国会は事実上ストップ、政治の停滞が続いている。
この非常事態に自民党は総裁選で福田康夫元官房長官、麻生太郎自民党幹事長を擁立、23日の投開票が決まっている。
福田康夫氏には麻生派を除くほとんどの政策集団、いわゆる「派閥」が支持しており、福田氏の優勢は変わらないと言われている。
こういった状況から、旧来の派閥政治が復活したのではないか、という懸念もあるようである。
しかしながら、それは杞憂であろう。
なぜならば旧来の派閥政治は、派閥の領袖が右と言えば、派内の皆が右を向き、若手は派内で言いたいことも言えなかったものであるが、今はそうではない。かつては派閥の領袖の意向に逆らえば、その派閥に留まることを許されない雰囲気があったが、今回の総裁選では福田支持を決めたほとんどの派閥から麻生選対役員に複数就いている。かつてあった派閥の弊害があるようには見えず、それぞれの議員が自身の判断である程度自由に行動しているように見える。
そんな中で、ふと疑問に思ったことがある。武部勤元自民党幹事長率いる「選挙塾」の「新しい風」で昨日起こった出来事だ。
(以下毎日新聞より抜粋)
<杉村太蔵議員>総裁選びに反発し「チルドレン塾」を退席
9月16日21時3分配信
小泉チルドレンと呼ばれる自民党の当選1回衆院議員らでつくる選挙塾「新しい風」(会長・武部勤元幹事長)は16日、党本部で総裁選対応を協議した。このうち、メンバーの杉村太蔵衆院議員が「(武部氏らの方針に)ついていけない」と途中退席。武部氏は杉村氏に「もう来るな」と怒ったという。
杉村氏は記者団に「こんなことで総裁が決まるなら自民党は終わる」と述べた。総裁選で小泉純一郎前首相の再登板を模索していた同会が、福田康夫元官房長官支持でまとめようとすることに、反発したとみられる。
今回の福田擁立を派閥談合によるものだという批判の声があるが、私は必ずしもそう思わないし、この経緯を批判するつもりはない。したがって杉村氏の考えとは必ずしも一致しない。
しかしながら、このような杉村氏の言動を封じ込めるような武部氏の行為には私は強く疑問を感じる。先に述べたように、今はほとんどの派閥が必ずしも一枚岩ではない。自由に言いたいことを言い、総裁選に当たっても領袖の意に反して動くことが許される時代になっているのである。領袖の意向に反することを言えないような派閥になってしまえば、それこそかつての派閥政治の復活であり、派閥の弊害が顕在化してくるであろう。
それにもかかわらず、武部氏は自身が「派閥ではない」と主張しているただの「選挙塾」において、自分の意向に反することを言った杉村氏に対して「もう来るな」と怒鳴ったのである。
これでは、ただの「選挙塾」のはずの「新しい風」は、れっきとした「派閥」以上に旧来の派閥そのものではないだろうか。
武部氏といえば、参院選において自民党が惨敗、自民党として安倍続投を容認するかどうかで揺れている最中、安倍続投の是非を議論する山崎派総会で、武部氏の意に反して安倍続投に疑問を投げかけようとした、政治家として先輩の野田毅氏に対し、「黙れ!」と怒鳴り、発言を封じようとして、逆に同派会長の山崎拓氏から諌められたようだ。
また、当初武部氏は「福田なんか支持しない」と周囲に言っていたと聞く。党の大勢が福田支持に廻ったのを見て、手のひらを返したかのように福田支持に廻ったのである。
そんな武部氏が、福田氏を支持しようという「新しい風」の方針に疑問を呈した杉村氏に「もう来るな」と怒る資格があるのだろうか。
武部氏は何を勘違いしているのだろう。「新しい風」の小泉チルドレンも、あくまで「小泉」チルドレンであり、「武部」チルドレンではない。自民党が先の総選挙で圧勝したのも、当時の武部幹事長の力ではなく、あくまで小泉首相の力によるところが大きいのである。「新しい風」は「武部派」でもなければ派閥でもない。したがって総裁選をめぐる対応が個々の議員によって異なるのは自然なことである。それを認めないのであれば、武部氏は「新しい風」が武部氏自身による武部氏のための「派閥」であることを公言すべきである。
武部氏には安倍首相にも通じる傲慢さや勘違い、「KY」を改めて頂きたいものだ。
政治家の言行不一致、傲慢は国民の政治不信、反発を招く。
私は「派閥」を全面否定するつもりはない。人間が集まれば考え方の近い人たち、仲の良い人たちが集まりグループになるのは当然のことである。党運営にも通じる話であるが、要は正しいことを正しいと言えない体制、言論を封じ込めるような体制にならなければ良いのである。上から威圧するようにして言論を封じ込める組織は企業であれ政党であれ、風通しが悪くなり、必ず衰退する。増して言葉が命である政治家の発言を「黙れ!」などと怒鳴り封じることは、有権者に対する冒涜でもある。党執行部や派閥を率いる政治家には、このことを肝に銘じて頂きたい。


by ikki-ikki
安倍首相は即刻退陣せよ